2015年6月5日
産経新聞
文部科学省は5日、義務教育段階で英語力の底上げを図るため、全ての中学3年生を対象とした英語の新テストを平成31年度から導入する計画を発表した。今年7月に6万人を抽出して実験的なテストを実施し、その結果を基に制度設計を進める。今年度末から、都道府県ごとに中高生の英語力について数値目標などを定め、達成状況や改善策を公表するよう求める。
新テストは、英語の「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能の習得度を確認するために実施する。習得度は国際標準規格「CEFR(セファール)」を用いて示す見通し。現在、小学6年と中学3年を対象に実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)と同様、結果を授業改善などに活用するのが目的だ。
「話す」「聞く」の技能は、筆記テストのように一斉にテストすることが難しいため、教員と生徒が対面で個別に行うことも検討している。その場合、受験者数が100万人以上となるため、試験期間の長期化や学校側の負担が増すことが予想され、新テストは複数年に1度程度の実施となる可能性もある。
高校にも英語のテストが導入される。大学入試センター試験に替わり学習到達度を測るため、31年度から予定されている「高校基礎学力テスト」の1教科として実施し、結果を学力向上策に活用する案を検討する。
文科省は今年7月、中学生6万人、高校生7万人を抽出して実験的なテストを実施する予定で、今年度末に結果を取りまとめる。
また、都道府県ごとに「中学生の60%が英検3級程度以上を達成」などの数値目標や、目標達成のための授業計画などを取りまとめ、今年度末までに公表するよう要請する。
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■CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠) 語学レベルの指標を示す国際標準規格。2001年に国際機関の「欧州評議会」が発表し、欧州を中心に学校教育の数値目標などとして使われている。評価基準は「住所を伝えられる」「身近な話題について文章を作れる」「流暢(りゅうちょう)に自己表現できる」などで、「基礎(A)」「自立(B)」「熟練(C)」の3つの段階をそれぞれ2つに分け、「A1」から「C2」の6段階に分類。英検2級はB1に相当するなど資格試験の等級や点数などから能力を換算できる。