2015年7月7日
産経新聞
文部科学省は7日、大阪府教委が全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公立高校入試の内申点に活用する方針を示していることについて、原則として容認しない方針を明らかにした。文科省で同日開かれた専門家会議で反対意見が相次いだため。遅くとも8月中に、府教委側に対応を求めるとしている。
府教委は4月に実施した学力テストの結果から活用を始める予定だが、文科省は今回の結果の使用禁止を含めて検討する。ただ、既に府教委は学校や保護者に実施について説明を進めているため、急な中止により生徒らに混乱が起こる可能性もあり、今年度は容認し、来年度からの使用を禁じることも検討する。
この日の専門家会議終了後、座長の耳塚寛明お茶の水女子大教授が会見し、見解を説明した。
耳塚教授によると、委員からは学力テストの入試活用について、(1)本来の趣旨を逸脱している(2)生徒の責任でない学校別成績により内申点が補正される(3)不正や過当競争を招き制度の根幹が揺らぐ(4)より長期の検討期間を設けるべき-とする観点から反対意見が出たという。専門家会議は近く反対意見を正式に文書にまとめ、文科省に提出する。
耳塚教授は「(入試への活用は)やめてほしい。不正やテスト対策が日常化してしまう。昭和の時代に何が起こったかを注意しなければならない」と指摘。
学力テストは昭和36年度から中学2、3年の全員を対象に実施したが、過当競争を招き、平均点の高い地域や学校への越境入学が流行するなどしたため批判が続出。41年度に一時中止に追い込まれた経緯がある。
府教委の担当者は「既にに走り出しているので、今年度は使わせてもらいたい。文科省と協議を続けていく方針だ」と話した。